お口のトラブルを未然に防ぐ~予防歯科~
「歯医者は、歯が痛くなってから通うところ」――
つまり「歯科医院は治療をするところ」というのがこれまでの一般的な認識でした。
しかし虫歯や歯周病などのお口のトラブルは、しくみがわかっているので予防できる病気です。予防の基本は毎日のブラッシングなどによるセルフケアと、定期的な歯科医院でのプロフェッショナルケアです。
予防歯科とは
お口のトラブルを未然に防ぐため、「痛くなる前」に定期的にお口の中をチェックして、お口のトラブルを起こしそうな要因を事前に取り除く処置を行うのが予防歯科です。定期健診の活用は、虫歯予防に大きく貢献します。日本では、子どものころからの定期的なメンテナンスを受けると、12歳のときに永久歯に虫歯がない子どもが約9割だったというデータがあるほどです。また大人になってから定期的なメンテナンスを受けていると、そうでない人にくらべて歯を失う確率が半分以下だったという報告もあります。
予防歯科のメリット
大きなメリットは虫歯や歯周病などのお口のトラブルを防ぐことです。もしすでに発症していても早期発見・早期治療につながるのでお口へのダメージを抑え、お口の健康につながります。そして発症を防ぐと病気の痛みだけでなく、治療での身体への負担もかかりません。治療のための通院の手間や治療費も抑えられるのです。予防歯科での定期健診では歯のクリーニングも行いますので、お口の健康が保たれ、口臭の予防にもつながります。
予防歯科メニュー
歯科医院での予防について
PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)
お口のケアのプロフェッショナルによる専用機器を用いた歯のクリーニングです。歯ブラシが届きにくく毎日のブラッシングでは落としきれない汚れやプラーク(歯垢)・歯石を徹底的に除去します。
フッ素塗布
歯の再石灰化を促す効果があるフッ素を歯の表面に塗布する処置です。虫歯菌が出す「酸」に対する抵抗力を高め、歯質を強化する効果が期待できます。虫歯予防のためには定期的なフッ素塗布が有効です。
個人での予防について
ブラッシング
毎日のブラッシングは虫歯や歯周病予防の基本です。お口の状態に合わせて効果的なブラッシング方法をアドバイスしますので、毎日のケアに役立ててください。
食生活の注意点
お口の中が汚れた状態が長く続いてしまうと虫歯や歯周病の発症や悪化のリスクを高めます。ダラダラ食べず、決まった時間に栄養のある食事を摂ることをおすすめします。
キシリトールの摂取
キシリトールは虫歯菌の養分となる糖分を含みません。甘味料でありながら虫歯の発生を予防し、虫歯菌の活動を抑制する効果も期待できます。虫歯予防のためにはキシリトールが含まれる物を食後に摂ることをおすすめします。
プラークコントロールとは
プラーク(歯垢)には1g中に1~3兆個の細菌が含まれているといわれています。虫歯や歯周病の原因菌も含まれていますので、プラークコントロールによってプラークを取り除くことがお口のトラブル予防につながります。プラークコントロールの基本はブラッシングです。歯ブラシでは届きにくい部位は、デンタルフロスや歯間ブラシを活用しましょう。また洗口剤の活用もおすすめです。
しかしセルフケアだけではどうしてもプラークを落としきれない部分が生じます。そこをきれいにするのがPMTCです。定期健診を活用してきちんとプラークコントロールして、お口の健康につなげましょう。
バイオフィルム
バイオフィルム(生物膜)とは、水のあるところにはびこる微生物の集合体でねばつく膜です。お口の中の細菌のかたまりのプラークもバイオフィルムのひとつです。バイオフィルムの中ではさまざまな細菌が協力し合ってコミュニティーを形成し少しずつ増殖していきます。お口の中のバイオフィルムを落とすにはプロフェッショナルによる専用機器を使ったクリーニング(PMTC)が必要です。
PICKUP~8020運動~
「8020運動」とは80歳になっても20本以上の自分の歯を保つことを目標にした、日本歯科医師会が呼びかけた運動です。20本以上の歯が残っていれば、ほとんど支障なく食事ができることから、この運動が始まりました。
永久歯の本数は親知らずを除くと全部で28本です。もし半数の歯を失ってしまうと、お米のようなやわらかい食べ物もうまく咬めなくなるといわれています。食事に支障をきたすと栄養補給に影響を与えるだけでなく、「生きる意欲」にも悪影響を与えかねません。さまざまな生活習慣病を引き起こすリスクも高めてしまいます。
歯を失ってしまってから後悔しても、歯は自然には生えてきません。後悔しないように、毎日のケアと歯科医院での定期健診を活用して、80歳になっても20本以上の歯を残しましょう。熊本市中央区大江の臣歯科診療所にご相談ください。